【透析エロス部1】透析と性生活ってけっきょくどうなの?回数編

「透析患者の性欲は下がる」とか「透析患者はタタナイ」とか、そういった性にまつわる話はググるとたくさん出てくる。
ED、ハゲ、癌といった内容は、悩みを抱える者が切実だから、業者が異様に多い。そしてそういった業者は不安を掻き立てることで儲けが出るものだから、扇情的だ。

しかし、透析患者の性生活は実際のところどうなのだろうか。

疑問に思ったので「ファンキー透析ライフ!」編集部で少しずつ調べていくことにした。ただし、編集部メンバーは全員医学に関してはシロウト集団である。参考にしたものは記事の最後につけておくので、もし記事に「マジかよ」と疑問をお持ちになった貴殿・貴女は、ご自身の曇りなき眼でご確認いただきたい。

ということで、今日は第1弾の報告「透析と回数の関係」だ。

■1995年の「男性透析患者の性機能の研究」

今回は、札幌医科大学医学部泌尿器科学教室の鈴木伸和先生と、熊本悦明先生の研究の論文を読んだ。1995年に発表されたものだから、もう12年も前のものである。その間、透析機器も薬もぐんぐんと良くなっている。どんな結果が出ても、「12年前のものである」ということを心に留めたい。

■研究対象と目的

この研究は20代から70代の透析患者男性205例を、健康男性3462例と比較したものだ。透析患者の中から糖尿病症例と重度貧血症例は除かれている。除外理由は、純粋に「透析による影響」を調べるためだ。

加えて透析患者男性205例は全員、一応の社会生活を送れる程度の透析管理がなされていて、かつ妻やパートナーがいる人たちという前提がある。確かに、妻やパートナーをGETするところは、「性機能」には関係がない。調査方法は紙アンケートだ。

■1995年の健康男性の元気っぷり

ところが、だ。この比較対象の3462例の健康男性たちが、すごすぎる。

回数に関して聞いたものは「現在のあなたのセックスの回数は、次のどれですか?」という質問だ。回答は「全くない」「月に1回未満」「月に1、2回」「2週に1、2回」「週に1、2回」「週3回以上」が用意されている。たとえば3ヶ月に1回だった場合は、「月に1回未満」と答えるだろうが、半年に1回だった場合は「全くない」と答える人もいるだろう……と俺は思う。

が、「全くない」と答えた健康男性は、30代では3.5%、40代では3.0%、50代では7.5%、60代では18.0%なのだ。ちょ、待って、そんなに? 「全くない」はそんなに少ないの?

■2013年の相模ゴム工業株式会社の調査では

元気っぷりが信用ならなかったので、別の調査も調べてみた。コンドームを作っている相模ゴム工業株式会社の調査だ。2013年1月の調査で、全国の男女14,100名にWEB調査をした結果だ。

それによると、結婚しているか交際相手がいる人に対して、「その相手と1ヶ月にどの程度しているか」を聞いた結果、男性の平均は20代で4.4回、30代は3.0回、40代は1.9回、50代は1.6回、60代は1.2回だそうだ……。平均ですよ。

……けっこうしているのですね。聞き方も調査方法も違うのだが、1995年の調査の健康男性の結果は、まったくおかしな数字ではないのかもしれないと感じてしまった。

■1995年調査の透析患者の結果は

2つの調査を見ただけで自分自身の性欲不足をひしひしと感じるが、実際、透析患者と健康男性とはどの程度違うのだろうか。

透析患者が「現在のあなたのセックスの回数は、次のどれですか?」という質問に、「全くない」を選んだ結果は、30代では12.9%(健康男性は7.5%)、40代では22.4%(健康男性は3.0%)、50代では52.2%(同7.5%)、60代では89.3%(同18.0%)だそうだ。なんとなく、俺には透析患者の数字の方が自然に思えてしまう。

「全くない」以外の項目も、透析患者は全体的に少ない回数の方に寄っていた。少なくとも1995年の調査では、透析はやはり性生活に影響するらしいという結果のようだ。

ときどきネット上で「高齢の透析患者が看護師の女性にセクハラする」といった発言を見かけることがあるが、上記のような結果を見ると、セクハラできるような高齢患者はかなり特殊な存在なのではないかとすら思えてくる。むしろ、幼稚園生のスカートめくりのような感覚なのかもしれない。

■海外の研究では

最近の研究はないのだろうか。そう思って調べたところ、海外の研究を見つけた。2015年の調査結果である。おぼつかない英語力で眺めて見たところ、同じように性機能が透析によって影響を受けるとあった。

もちろん、海外と日本では透析の方法や使用機器も違うため、そのまま同様に考えることはできないが、20年たっても、もしかしたら状況は変わっていない可能性もある。自分の性衝動を考えてもその可能性はあるかもしれない、と感じる。

■性生活はバカにできない

正直言えば、10代や20代のときのように性衝動に振り回されなくなった自分自身を、俺はちょっと気に入ってもいる。しかし、透析を始めて「人生のパートナー」としての彼女や結婚相手がほしいと思うようになった。そう考えた時、やはり性生活というのは大切なものだなとも感じる。

日本の透析医療レベルは高く、一般的な日常生活が可能になった人も多い。栄養素に気をつけながらもよく食べ、元気に仕事をしている人も多い。となれば、QOLをあげていくために、性生活は無視できないのではないか。

■終わりに

前述の海外の研究によると、6ヶ月の特別な治療で性機能が改善したというようなものあるようだ。
ということで、引き続き「透析エロス部」として、なぜ透析患者は性交渉の回数が少ないのか、それはどうやったら解決できるのか等々を調べていく予定だ。

参考:男性透析患者の性機能の研究相模ゴム工業株式会社「ニッポンのセックス」サイト男性患者の性機能に及ぼす血液透析の影響(英文)
執筆:ニッシー