【映画紹介】カンヌ国際映画祭の最高賞「ブンミおじさんの森」が前衛的であーる

最近、俺は透析中にNetflixを見ている。聞いたことのある映画タイトルを検索して、観る映画を選ぶことが多い。が、透析4時間×週3回もあると、なんだか似通った映画ばかりに感じてきて飽きる。俺が聞いたことのある映画はだいたいハリウッドもので、超有名どころだからかもしれないが。

ところが、今回見た「ブンミおじさんの森」という映画は全く違った! 度肝を抜かれる作品だったので紹介したい。

■パルム・ドール受賞作品

この作品は、カンヌ国際映画祭の最高賞である「パルム・ドール」を獲得している。カンヌ映画祭もパルム・ドールも、俺にはうっすらと知っているくらいの存在だったが、今回調べてみてカンヌ国際映画祭は世界でもっとも有名な映画祭の一つだとわかった。

そして、カンヌ映画祭は10名前後の審査員が受賞作を決めるので、一般人の映画への印象とは大きく違うこともあるらしい。なんというか、「映画に一家言ある人たちが選ぶ賞」だ。通好み、なのかもしれない。

■「主人公が透析をしている」の一点で鑑賞を決める

通好みどころか、どちらかというとミーハーな俺がこの「ブンミおじさんの森」というタイ映画を観ることにしたのは、「主人公のブンミが透析をしている」という一点につきる。タイの映画も初めてだ。

ただし、「ブンミおじさんの森」をパルム・ドールに選んだのはティム・バートン。聞いたことのある映画監督じゃないか。(編集注:ティム・バートンは『シザー・ハンズ』や『スリーピー・ホロウ』、『チャーリーとチョコレート工場』などを撮った映画監督。)

■ざっくりストーリー紹介

ストーリーはこんな感じだ。

「森を前にすると、自分たちの前世であった動物や生き物の姿が見えてくる」というナレーションから物語は始まる。タイ東北部の農園主、ブンミは腹膜透析をしている。ある時、ブンミの妻の妹のジェンとその親戚の青年トンを農園に呼び、夕食を食べていると、突然女性の幽霊が出てくる。

うっすら半透明の女性をよくみると19年前に亡くなったブンミの妻のフエイだとわかった。安心して話していると、部屋の隅の階段の暗がりに赤く光る目のようなものが見えてくる。声をかけるとそれは食卓に近づいてくる。毛むくじゃらのゴリラのような人間だが、一同は彼がブンミの息子ブンソンだとわかって安心して話しかけ、写真を見せながら近況報告などをする。

ブンソンは「精霊や動物たちが、おじさんのことを知って集まってきている」と伝える。その席で、ブンミは自分の命が長くないことを悟ったか、ジェンに「農園を継いでほしい」と頼む。

翌日、ブンミは透析をしながら前世の夢を見る。ブンミは前世、自分の容姿に悩む王女で、人間の言葉をしゃべるナマズに惹かれて滝壺に入り、ナマズに転生したのだった。

目が覚めたブンミは、透析の手伝いをしていたフエイを抱きしめ、自分に最期の時が訪れたことを知る。そしてブンミはジェンに形見の品を渡してフエイに導かれるように森の中へ入っていく……

■「ブンミおじさんの森」の見所

ただし、この映画のストーリーは映画を見ただけではちょっとよくわからない。俺も映画を観たのちにネットで色々と調べて上記のことを理解した。

この作品の見所は、おそらく夢のような映像の美しさと欧米の映画では見かけることのない自然や動物、精霊の関わり方にあるのだと思う。幽霊の登場シーンやその受け止め方など、けっこう度肝抜かれるよ。精霊に「水飲む?」とか聞いちゃうんだから。俺的には、斬新でけっこう好きだった。

■アピチャッポン・ウィーラセタクン監督

この「ブンミおじさんの森」を撮ったのは、タイ出身のアピチャッポン・ウィーラセタクン監督。「ブンミおじさんの森」のあとには「光りの墓」という、タイ北東部の病院を舞台に、眠り病にかかった男たちの作品を発表している。ちなみに、「ブンミおじさんの森」に出てきた、ジェンも出てくる。

アピチャッポン・ウィーラセタクン監督は病と人間、夢と現実を見つめる人なのかもしれない。

■終わりに

ちらりと映像を見るだけで、不思議な気分が味わえる。そして……俺のような下世話な男にとっては、なんだか高尚な気分になれるのもいい。YouTubeに予告編が出ているので、気になった人は見て観てほしい。Netflix契約者のファンタジークラスタには特におすすめだ。

「ブンミおじさんの森」予告編

執筆:ニッシー